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「中小・小規模企業の環境・エネルギー分野における新事業展開支援」セミナー【第2回】

平成27年2月26日 東京商工会議所主催「中小・小規模企業の環境・エネルギー分野における新事業展開支援 第2回」が開催されました。
東京商工会議所では、環境・エネルギー分野における新事業展開の成功事例として10社を対象に、これまでの経験等についてヒアリングを行いました。
本セミナーでは、ヒアリングを行った3社を講師としてお招きしお話いただきました。
質疑応答も多く、環境・エネルギー分野における新事業展開への関心の高さがうかがえました。

〜ご挨拶〜

2013年中小企業白書において、過去10年間に新しい分野で実施、検討した事業として環境分野が圧倒的に多いことが分かりました。
東京商工会議所では、この部分に注目して成功している10社にヒアリングし、本日は3社にお越しいただき講演いただくことなりました。

環境の知識に関するセミナーは沢山ありますが事業展開に関するセミナーは数が少ないように思いますので
本セミナーでの成功されている企業様の講演内容が皆様の事業展開の参考になれば幸いです。

各社事例紹介 1

株式会社大阪テクノクラート 代表取締役社長  峯 考弍 氏

事業内容

再生可能エネルギーや最先端の省エネルギー技術を使用し、効率的なヒーティングシステムを構築するため技術コンサルティング、設備設計から施工までを行っている。

事業開始の契機

2002年当時の集合住宅(マンション)は、どの会社も建物のデザインが優先され、省エネ対策等はあまり重要視されていませんでした。
そんな中、あるディベロッパーから住環境を優先した給湯・暖房設備の導入に向けた相談を受けたのが、事業実施の契機となりました
日本では、集合住宅へのエネルギー供給は、ガスまたは電気による一次エネルギー供給のみで、ヨーロッパのように熱供給によるセントラルヒーティングシステムはほとんどなく、個別の熱源器による給湯、暖房が行われていました。特に、暖房が主流となる寒冷地では、集合住宅の内部に機器が設置されているため、スペース、騒音が大きな問題でした。これからは、日本の集合住宅も快適性を優先した住宅設備と自然エネルギー(再生可能エネルギー)を利用したエネルギー効率の高い住宅開発を検討する企業は増えると考え、そこに事業性があると見込みました。
→詳細は「株式会社大阪テクノクラート」の事例紹介ページをご覧ください。

質疑応答

Q1新しい一押しの技術があれば教えてください。

A1再生可能エネルギーには、太陽熱、太陽光、地中熱、バイオマス、雪氷などがありますが、利用するのは、なかなか難しいところがあります。
弊社として現在取り組んでいるのは吸着冷凍機です。一般的にはエアコンは電気で稼働しますが、冷凍吸着機は熱で冷房を行う技術で、60度前後の熱があれば、冷凍機が稼働する仕組みとなっています。
特に低温域で捨てられている熱(排熱)のシステム利用を広げていきたい

Q2海外展開について教えてください。

A2太陽熱を利用した冷房設備、バイオマスを利用した発電など、商品として流通させていくにはリスクもあるため検討中です。

Q3メンテナンスのためにエネルギーデータを蓄積されていますが、このシステムは自社で構築されたのでしょうか。又、どのくらいの投資をされたのでしょうか。

A3一般のパソコンと海外の公開ソフトを利用して工夫しながら運用しています。弊社が蓄積するデータは1分間単位のものとなり膨大なデータになりますので、データを保管するサーバールームは、コストパフォーマンスの高いアメリカのサーバールームを利用しています。蓄積された生データはエクセル変換して利用しています。
1物件のデータ収集及び管理コストはプラントコストの1%ほどを目安にしています。

Q4人材の育成、ノウハウの引き継ぎなどを、どのようにお考えでしょうか。

A4いいか悪いかは別にして、人材育成、会社存続の問題を含めて、基本的には関連企業とのジョイントベンチャーまたはM&A等を利用して戦略的発展するのが、私自身の結論となります。弊社の取引先にはヨーロッパの中小企業が沢山ありますが、それらの会社は盛んにM&Aが行われ発展しているケースが多く見受けられます。ノウハウを探している企業と組むのが、人材育成の面も含めてスムーズではないかと思います。
人材募集では、過去にベトナムのハノイ工科大学でセミナーを開催したが、コミュニケーションの部分から難しいところがあり、セミナーだけで終わってしまったこともあります。

各社事例紹介 2

株式会社ティービーエム 事業企画部長  東 誠悟 氏

事業内容

・厨房排水関連機器の開発製造
・厨房排水管理サービス
・新循環インフラ「環吉君システム」の開発運営

事業開始の契機

グリストラップに関する問題や現場の悩みを色々と見聞きする中で、「水を守る」を事業コンセプトに起業しました。設立当初から衛生工学や廃棄物処理、法律などに関して、研究機関や行政などの専門家に助言を求め、立脚すべき科学技術や法令調査に尽力しています。
その結果、グリストラップ管理の在り方および高濃度油脂を含む排水処理においては、油脂を吸い込む機械式のほうが効率的で優位性があることが分かり、2000年1月より「環吉君」の開発に着手しました。
→詳細は「株式会社ティービーエム」の事例紹介ページをご覧ください。

質疑応答

Q1発展途上国にもグリストラップあるのでしょうか。

A1調査した訳ではないですが、フィリピン セブ、インドネシア バリなどは、グリストラップ(屋台は除く)が導入されています。しかし、設置はされているが管理されていないのが現状です。

Q2スカムも含めた発電の計画はありますか。

A2弊社は元々、排水処理からスタートしている企業のため、まずは水と油でいきたいと思っていますので計画は考えておりません。

Q3グリストラップ回収のためにはマンパワーが必要かと思いますが、どのように行っているかを教えてください。

A3弊社の研修およびOJTをパスされたパートナー会社様と協力して回収作業を行っています。
新規顧客を開拓する場合は、お客様側の既存で契約されているバキューム業者様に極力対応していただくようにしています。理由としては、バキューム業者は他社との差別化がしづらいこともあり、業者としても環境ソリューションを持ち、他社との差別化をしたいとの思惑が背景にあります。そこで弊社としてはソリューションをご説明した上でパートナーになって頂くことが多いです。

Q4廃棄物関係は法令などが複雑なことが多いですが事業を展開されるにあたって、事前に入念な調査を行ったのでしょうか。それとも展開しながら行っていったのでしょうか。

A4元々は油脂をリサイクルするために分離回収した訳ではなく水処理をするために設備を開発していました。
その中で油脂を燃料として使用できる可能性について考えるようになり、有価物買取や有価資源として国・省庁などに認めて頂けるように研究を始め、調査、資料作成は、廃棄物コンサルタントの力を借りながら行いました。また、大手飲食チェーンと事業をはじめる際は、お客様側の環境担当者と東京都庁に出向き、ビジネススキームを説明してお伺いを立てた上で、問題ないか確認を行いました。

各社事例紹介 3

株式会社ミラクール 常務取締役  深江 典之 氏

事業内容

遮熱塗料「ミラクール」の研究開発、製造、販売。(施工は行っていない。)

事業開始の契機

創業メンバーがノウハウを持っていた遮熱塗料のニーズが高まってきたと判断、本格的に開発、販売をすることにし、ミラクールの創業に至りました。そのため、創業当初からこの事業を実施しており、遮熱塗料のみを扱っている会社です。
→詳細は「株式会社ミラクール」の事例紹介ページをご覧ください。

質疑応答

Q1遮熱塗料技術は今後も日進月歩していくのでしょうか。

A1原材料の改良で少しは性能アップが見込めると思います。しかし、今後の色々な物質が開発されることで塗膜の長寿命化が図れるかもしれません。
弊社では1回塗ったら10年以上は持つ塗料を提供していますが、これによって長持ちする可能性が出てくると思います。
導入されたお客様より15社の塗料を比較した結果、イニシャルは高いが、10年以上、塗装面の品質を維持したいと考えた場合、ミラクールが一番コストパフォーマンスに優れているとおっしゃっていました。

Q2太陽熱を遮る遮熱塗料は冬場の暖房効率を下げてしまうと思いますが、このあたりをどのようにお考えでしょうか。

A2弊社ではお客様に導入する場合には、夏のプラスと冬のマイナスを総合的に考えた上でご提案しています。これまでの導入実績から関東以南であれば、総合的に見てプラスになると思っています。そのため寒冷地での導入は考える必要があると思います。

Q3断熱と遮熱の違いはどういったものなのでしょうか。

A3断熱の言葉の定義が曖昧になっているため混同されるケースが多々有ります。
熱移動というものは本来「反射、伝導、対流」の3つしかありません。
弊社としては伝導を抑えるのが断熱と理解しているが、他社では反射も含めて断熱という解釈も多々あり、更に分厚く塗ることで断熱という解釈もあります。
業界としては分かりやすくするため「省エネルギー塗料」という別の名称で、明確な性能値を出すなど検討をしています。

Q4販売後のアフターフォローはどのようにされていますか。

A4導入5年後にヒアリングを行い必要に応じて補修を行うなどをしています。しかし、圧倒的に導入先が事業者様の例が多く、施工された建物に登ることが出来ずチェックが難しいところがあるが、実施できる範囲内でチェックを行っています。

Q5暑い地域の方が商材としてマッチしているのでしょうか。

A5その通りです。適切に言いますと日射量が多い地域となります。
日射量の多いタイ、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどで喜ばれています。

Q6差別化として塗布して10年間の耐久性とありますが、新規、塗替のどちらでしょうか。

A6新規、塗替のどちらでも耐久性はあります。施工から10年経過した物件の塗替で建物の屋根の一部をカットすることになり、その一部分を頂くことができたので、日射反射率を研究機関にて調査したところ、性能の8割を維持していることが分かっています。

Q7防水効果について教えてください。

A7ミラクールは防水層の上にトップコートとして使用します。

Q8創業当時と大企業の資本が入ってからは、営業スタイルは変わりましたか。

A8創業当時は既存ルートには乗せたくないという思いがあったので、直接工場に出入りしている会社に同行して営業を行っていました。大企業の資本が入ってからは関連会社などを紹介して頂いて営業をしていますが、その伝手でゼネコン関連などには、それほど営業を行っていません。今も同行するスタイルと取っており、最近は環境商材を取り扱っている代理店様と営業を行うことが多いです。

まとめ

株式会社早稲田環境研究所 副主任研究員  佐藤 雄 氏(株式会社早稲田環境スマートシステムズ 代表取締役社長)

ヒアリングを行った10社は2002年頃に事業展開した割合が多いのが特徴です。

理由としては、2002年頃からヒートアイランド、地球温暖化がマスコミで騒がれるようになり、一般消費者、企業ともに環境意識が変わったことで市場として成り立つにようになってきた事が背景にあります。

各社、既存事業からの脱却、新規事業の展開を検討されている中で、従来にない事業、商材に勝機を見出し、又、入念な事前調査を行った上で事業を開始されていることが特徴的です。これに加えて、環境(特にリサイクル)ビジネスを展開する場合、法律が重要になることが多いため、事前に調査した上で進出しています。

共通しているのは、スタート当時は非常に苦労されていることです。
まず、信用力といった部分が最初の大きな壁になっています。そのために補助金の活用や、海外展開の助成を利用し、それを元に横展開されている企業もいらっしゃいます。もうひとつは、当社比よりも購買者への信頼度が上がる第三者認証を利用するのも1つの方法です。

また、環境商材を扱う企業はファブレスという工場を持たない方式を取る企業の数が多いのも特徴です。アップル、ユニクロも同様のスタイルを取っており、事業の展開がしやすいことが挙げられます。

更に事業を継続されている企業の特徴的な一面としてアフターフォローが手厚いということがありました。
導入実績に加えて、数値的な効果などもデータ収集していました。これらは、新たな事業展開のファーストステップの次に重要な部分と感じています。

以上