事例紹介 〜省エネ・温暖化対策を新たな成長の原動力に〜今すぐできる中小企業向けヒント集

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新エネルギー

1. 企業基本情報

事業者名 株式会社森のエネルギー研究所
所在地 〒205-0001 東京都羽村市小作台1-4-21 KTDキョーワビル小作台3F
主な事業内容 ・再生可能エネルギーコンサルティング業務

・森林、林業に関するコンサルティング業務

・木質バイオマス機器の設計・施工

・木質バイオマス機器の研究開発

代表者 代表取締役 大場 龍夫
従業員数 15名
創業年 2001年10月
資本金 4,150万円
URL http://www.mori-energy.jp/
会社沿革
2001年10月
会社設立(資本金1,500万円)
2001年10月
研究開発、木質バイオマスに係る調査・計画・設計、事業化支援業務、ペレットストーブの輸入販売を開始
2001年11月
実験用木質ガス化発電装置(1kW)のレンタル事業開始
2007年8月
「森のいいことonline shop」を開設
2007年10月
物販部門が「(株)森のいいこと」として経営分離し独立。
木質バイオマスボイラー導入診断業務の開始
2008年4月
平成20年度林野庁補助事業 木質エネルギー技術高度化事業 運営事務局設置(以降、運営事務局を担当)
2012年3月
4社共同開発の木質ペレット蒸気ボイラーを連携会社から販売開始
2013年8月
宮城県仙台市に東北営業所を開所
2013年9月
一級建築士事務所登録(一級 東京都知事登録 第58935号)
2014年4月
(株)エコ・グリーンと業務提携契約締結
2015年8月
フォレスト・テクノロジー・サービス(株)設立
2015年9月
熊本県熊本市に吸収営業所を開所

2. 環境・エネルギー分野における主な事業内容、特徴のある事業内容

<森林バイオマスのコンサルティング事業>

森のエネルギー研究所では、エンジニアリング部門とリサーチ&コンサルティング部門の連携による独自のノウハウに基づき、木質バイオマスに特化したコンサルティングを行っている。近年、多くの地域で地域資源の活用の観点から木質バイオマスの利用が求められている。しかし、経済状況、森林資源の潜在性、林業技術の歴史的背景・供給能力などは地域によって異なってくる。こうした状況を総合的に考え、事業可能性の調査、バリューチェーンの構築、適合するプラント設計、運用のための人材教育プログラムまでを一貫して提供することができる。

図2-1 検討から運営までのフロー(山口県での事例)

<研究開発>

バイオマス設備の普及の障害の一因として、高額な設備コストが考えられる。こうした観点から、創業以前から小型ダウンドラフトガス化コジェネレーションシステム(木材からガスを取り出し、発電・発熱する設備)の研究開発を行っている。また、欧米の進んだ技術・機器を紹介し、さらに国内メーカーと協力して、技術・機器を国産化するための様々な支援を行っている。

表2-1  主な業務事例

概要 効果
①「(25kW)小型木材ガスコジェネレーションシステム」の研究
創業前から研究をしていたラボスケールのダウンドラフトガス化炉を林野庁の開発補助の採択により、25kW級のシステムとして組立、実証実験によりブラッシュアップ 日本国内の木質ガス化研究の先駆けとなった。その後、国交省からの委託を受け、公園剪定枝燃料とした15kW級炭化ガス化コジェネ、50kW低コストガス化発電システムの研究開発を実施
②ペレット、チップボイラー、ペレットストーブの輸入販売施工業務
欧米で先行していたペレット・チップボイラー、ペレットストーブを日本で先駆けて輸入販売、施工を行った EU機器調査、EU技術研修、輸入手続き、国内法規制との整合性、設置ノウハウを蓄積し、日本における木質バイオマス燃焼機器普及の足掛かりとなる
③木質バイオマス燃焼器の国産開発
ペレットバーナーの国産化を支援し、ハウス加湿器や触媒付薪ストーブの開発支援等を実施 国内のバイオマス利用機器開発への先駆けとなっており、現在5社の共同開発による産業用ペレット蒸気ボイラーの販売につながっている

3. 事業詳細

事業開始の契機

設立当初は再生可能エネルギーを扱っている企業に勤務しており、分散型エネルギー研究会(NGO)を運営する中で、再生可能エネルギーに関して関係者へヒアリングなどを行い、エネルギーの自給自足に関しての研究を行っていた。当時は温暖化対策が求められる中で、木質バイオマスに関して検討を行っている企業がいなかったため、その必要性を感じ、木質バイオマスに特化した会社の設立に至った。

事業拡大までの経緯

(1) 事業展開のきっかけ

価値観の違いによる分裂や入札による価格競争の激化(後述の3.3を参照)など、困難に直面したことが事業転換の大きな契機となっている。具体的には約7年周期で大きな壁にぶつかっており、その都度、事業方向性の変更や、社員の意識改革を行うことで事業を回復させ売上拡大につなげている。

(2) 補助金の利用

これまで運営資金に関する補助金は受けていない。一方で、研究開発や調査事業、普及啓発事業に関しての補助金を多く取得している。

表3-1 取得補助金一覧

補助事業元 補助事業名 プロジェクト
林野庁 平成20〜21年度木質バイオマス利用加速化事業 木質エネルギー技術高度化事業
林野庁 平成23年度地域材供給倍増事業費補助金 平成23年度木質バイオマス利用に係る環境影響評価調査等支援のうち環境影響評価調査
環境省 平成24年度木質バイオマスを燃料とするストーブの大気環境に係る調査検討業務 同上
国土交通省 平成24年度国営昭和記念公園における再生可能エネルギー活用技術実証研究 同上
林野庁 平成25〜27年度木材需要創出総合プロジェクト事業費補助金 木質バイオマス加工・利用システム開発事業
(3) 他社との差別化
  • 専門性

    再生可能エネルギー全般に対して事業を行っている企業は多くあるが、木質バイオマスを専門に行っている企業は森のエネルギー研究所のみである。木質バイオマス事業を現実的に行うには、多くのサプライチェーンを巻き込んで事業を進める必要があり、そのすべてを扱うことができる。

  • 豊富な知見

    これまで木質バイオマスのみで約300近いプロジェクトを手掛け実績を積んできた。また、コンサルティングから設計、施工、運営までを一貫して行うことができるため、木質バイオマスに関しての豊富な知見を保有している。

(4) 現状の改善すべき点
  • 人手不足

    木質バイオマスに特化しているとは言え、一貫して行っている分、多くのマンパワーや知識が必要であり、常に人手不足に悩まされている。そのため、優秀な人材の確保や育成に力を入れていきたいと考えており、そうした人材が働きやすい環境づくりを行っていきたい。

これまでに直面した壁

・価値観の違いによる分裂

設立当初は人間関係や、起業目的に関する意見の相違などにより、思うようにチームワークを発揮することができず、メンバーが分裂してしまい、最終的に1人になってしまった。そのため、資金が必要となる研究開発事業は保留にし、自分一人でも行えるようなコンサルティングをメイン事業にした。その中で、資金やマンパワーなどを蓄えていき、設備の販売や研究開発を行えるような素地を作った。

・入札による価格競争の激化

一時期、地方自治体へのコンサルティングや調査計画業務について価格競合が激化し、連続して不採択となる時期があり、売上確保が難しく経営が困難となる時期があった。その中で、経営側のみで解決するのではなく、現状を社員にも説明することで、意識の改善につながった。具体的には、民間企業への企画提案など、提案・行動で社内が活性化して案件取得につながるなど、これまでの働き方が大きく変化し、結果的に売上拡大につながった。

今後伸ばしていきたい点

今後は課題である人手不足の解消を図っていきたいと考えている。具体的には、働きやすい環境の整備と地域パートナーとの連携である。育成した社員が退職しないよう、ライフサイクルなどを考慮し、できるだけ多くの社員が活躍でき、会社に入ってよかったと感じられる会社経営を目指していきたい。また、地域のパートナーと積極的に連携し、サテライトオフィスの設置やグループ会社化などを積極的に行い、現場の情報の獲得とマンパワーの確保を図っていきたい。

4. 環境・エネルギー分野での新事業を検討している事業者に対するメッセージ

日本においては持続可能な社会システムを構築することが非常に重要である。そのため、環境・エネルギー事業を行っている事業者が積極的に連携することが必要である。他社と連携することは自社の進化にも繋がっていくと考えており、経営においても非常に重要なことであり、これに継続して取り組んだ会社が事業拡大を成功させることができる。