事例紹介 〜省エネ・温暖化対策を新たな成長の原動力に〜今すぐできる中小企業向けヒント集

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新エネルギー

1. 企業基本情報

事業者名 株式会社カンタム14
所在地 〒184-0002 東京都小金井市梶野町1-2-36 東小金井事業創造センター
主な事業内容 ・ナノシリコン技術を基にした製品の開発、製造、販売
代表者 代表取締役 嶋田 壽一
従業員数 4名
創業年月日 2002年12月
資本金 4,575万円
URL http://www.quantum14.com/index.html
会社沿革
2002年12月
Quantum14,Incの日本法人として会社設立
2003年6月
東京農工大インキュベーション施設に入居
2003年10月
日本企業として独立(日本本社化)
2004年4月
本店を東京農工大インキュベーション施設へ移転
2009年4月
農工大・多摩小金井ベンチャーポートへ移転
2015年6月
本店を東小金井事業創造センターへ移転

2. 環境・エネルギー分野における主な事業内容、特徴のある事業内容

<シリコン加工事業>

カンタム14のコア技術は、東京農工大発のシリコンのマイクロ、ナノレベルでの加工技術である。環境技術への応用では、太陽光発電パネル製作用シリコンウエハースの効率的な切削技術に利用できる可能性がある。現状、機械を使って切削しているため、部材の切りかすとして6割~7割の材料が無駄になっている。カンタム14の技術は機械的な切削ではなく、電気分解を応用することで局所電解研磨を利用して切削することが可能となる。こうした技術を活用して、太陽光パネル製造コストの低減を目的に技術開発を行った。

また、極小シリコン材料を用いたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)は、現在、ミクロン単位の加工が可能だが、ナノシリコン技術を活用することでナノレベルとなり、更なる微小化が可能となる。

図2-1 技術概要

 

表2-1 その他技術の応用先

3. 事業詳細

事業開始の契機

2002年当時、ベンチャーキャピタルがシリコンの加工技術に興味を持ち、米国にて事業を開始した。その後、日本に事業を集約し、嶋田氏が社長に就任した。

事業拡大までの経緯

(1) 事業展開のきっかけ

設立当初から企業からの研究受託を一貫して行ってきた。その中で、事業展開の節目となったのは公的機関からの委託事業や補助金の獲得であった。公的資金を活用し、技術力を強化し、実用化に近づけることで、唯一無二の技術であり続け、新たな研究委託の獲得につながっている。
また、設立当初から研究開発費用確保のために運営経費の削減を意識していた。そのため、ベンチャー企業を積極的に支援している東京農工大学のインキュベーション施設に拠点を置いている。これにより家賃などの経費を抑えることに加え、公認会計士、税理士などの支援を受けることができるなどにより、研究開発へ注力することができている。

(2) 委託金、補助金の利用

これまで、事業運営に関わる委託金、補助金は獲得していないが、技術開発の費用として経済産業省(NEDO)から2つの委託事業、東京都から1つの助成金を獲得している。

表3-1 取得補助金一覧

補助事業元 補助事業名 プロジェクト
経産省(NEDO) 平成19年度
新エネルギーベンチャー技術革新事業
結晶シリコン太陽電池用の低コスト電気化学的加工プロセスの技術開発
経産省(NEDO) 平成21年度
ナノテク・先端部材実用化研究開発
ナノシリコンによる広帯域デジタル音源の開発
東京都(中小企業振興公社) 平成16年度 助成事業 自己収束型ナノシリコン電子源の研究開発
(3) 他社との差別化
  • コア技術
    カンタム14で行っているシリコン加工技術は大学発の新技術であり、現在は実用化に向けた研究段階である。そのため、他の事業者に先行しており、実用化されれば差別化が可能となる。
  • 豊富な技術・知識
    2002年会社設立時より大学発の基礎技術を導入し、一貫してシリコンの加工技術を研究しており、豊富な技術・知識を蓄えている。そのため、大企業の技術開発部門をはじめ多くの研究開発機関が本加工技術を活用したいと考えた時、カンタム14に依頼するのが効果的との判断となり存在意義がある。
(4) 現状の改善すべき点
  • 技術応用力の確保
    一つの分野を深く研究してきたため、他分野への知見をあまり持っていない。保有しているシリコン加工技術は他の分野への応用が必要であり、他分野の知見から、新たな製品へのブレークスルーへつながると考えている。そのため、共同研究開発などを積極的に行い、早期のビジネス化を目指している。

これまでに直面した壁

・基礎研究からの発展

保有しているシリコン加工技術は、未だ基礎研究の領域であり、市場に展開できていない。公的資金などを活用して技術開発を行ってきたが、現在は他分野の事業者との共同事業をめざし、様々な分野で実用化につなげていく。

・継続的な案件の確保

カンタム14では外部企業からのプロセス受託が主な業務である。その中の多くが、製品を製造する際のシリコン加工のプロセス研究が基本である。そのため、研究がうまくいった場合でも、プロセス委託者が独自にその後の製品化を行ってしまうため、継続的なビジネスとならない。敷居は高いがプロセス研究を単純に受託するのではなく、共同事業化やロイヤルティが得られるような契約案件の創出に注力し、収益基盤となるような事業運営を行っていく。

今後伸ばしていきたい点

外部企業との連携を図り実用化につなげていきたいと考えている。特に注目しているのは、ナノシリコンを使用した音源の開発である。ナノシリコンは熱伝導率が低く、熱容量が少ない特性を生かすことで、全く振動しない音源の開発が可能である。他分野との連携により、こうした新機能の実用化を行っていきたいと考えている。

4. 環境・エネルギー分野での新事業を検討している事業者に対するメッセージ

環境・エネルギー分野は政策や市場の影響を非常に大きく受けやすい。日本の基礎技術は非常に高いことから、国内市場のみをターゲットにするのではなく、グローバルな視点を持ち、高付加価値を生み出す技術の創出に注力してほしい。